Sportsの窓

EPISODE 9

 【2】


〜 2009年 六カ国対抗戦 様々な“死闘” 〜

 【1】


今年2009年六カ国対抗戦の最終節が先月幕を閉じました

まだまだ自分の中ではあの歓声がこだましているようにも感じます

最終戦3試合の第2試合目
ここまで全勝のアイルランドと
おフランスに悔しい1敗を期したウェールズとの一騎打ち
何時にも増してのミレニアムスタジアムの
あの試合の怒涛のような歓声は特に耳を離れません

61年振りのグランドスラムでアイルランドの悲願達成か・・
はたまたこの大会前までは北半球でのワールドランキング最高位のウェールズが
ホームグランドでの意地を見せるか・・・

どちらが勝利してもおかしくない両国

しかし、結果はわずかに力をここまで蓄えていた緑の国が、
相対するレッド・ドラゴンを
劇的な・・・正に死闘と呼ぶに相応しい一戦の末最後の最後の一瞬で
グランドスラム優勝を果たした
アイルランドの涙!涙の勝利でした


アイルランド悲願のグランドスラム優勝
優勝トロフィーを掲げる主将オドリスコルと
右はアイルランドの大統領マリア・マッカリース、右後ろはウィリアム王子


2年連続トリプルクラウンを制したアイルランド

やっと・・やっと・・のことでの勝ち取ったこのグランドスラム優勝は
1883年から参加した4カ国対抗戦からの長い123年の間
その間で61年前に達成された
たった1度のグランドスラムに続く・・・大勝利
それから長い年月成し得なかったこの快挙は
アイルランドラグビーにとっては歴史に残る輝かしい1日でした



しかし・・・実はこの時点で私自身全部の試合を観ていないので
現在は全15試合の内、
観ている試合、観ていない試合も大会が終わった今、
すでに来年のこの大会へ・・・と
各国、各選手が走り始めていると肌で感じられる
今大会の道程を振り返ってみたいと思っています

折りしも今夏4年ぶり12年振りに南アフリカへ
ブリティッシュライオン&アイルランドチームが遠征する年
当然その大会へと目が向いてしまいますが・・・
しかし!やっぱり国同士の戦いであれば
六カ国対抗戦

おフランスチーム  イタリアチーム  イングランドチーム  アイルランドチーム  ウェールズチーム  スコットランドチーム



混成チームではなく
たった一つしかない自分の国をしょっての大会は
毎年毎年行われていても
毎試合毎に一つのドラマが生まれます

1871年に当初はたった2カ国から始まった
この大会からすでに138年間
第一次、第二次世界大戦で中断されたことはあっても、
2カ国対抗から4カ国・・・5カ国、そして現在は6カ国の国々が
それぞれに思いを秘めてこの一戦に臨みます

今年はどんなドラマが生まれ、死闘が行われたのでしょう

すでに次の大会に気持ちは飛びますが
どうぞ、今年幕開けの大会結果に最後までお付き合いくださいませ










【2009年六ヶ国対抗戦】


今年も仕事が最も忙しいピークに始まって
あれよ、あれよ、という間に終わったこの大会・・・


まだまだ録画で暖めている試合もありますが、
先ずは順を追って今年の大会を振り返ってみたいと思います

すでに大会結果としては下記の通りになりました

曜日 開始時間 HOME AWAY 結 果 スタジアム
02月06日 15:00 イングランド  イタリア 36-11 トゥッイケナム
17:00 アイルランド  おフランス 30-21 クローク パーク
02月07日 15:00 スコットランド ウェールズ 13-26 マレーフィールド
02月14日 16:00 おフランス スコットランド 22-13 スタッド デ フランス
17:30 ウェールズ イングランド 23-15 ミレニアムスタジアム
02月15日 15:30 イタリア アイルランド 9-38 スタディオ フレミニオ
02月27日 21:00 おフランス  ウェールズ 21-16 スタッド デ フランス
02月28日 15:00 スコットランド イタリア 26-6 マレーフィールド
17:30 アイルランド イングランド 14-13 クローク パーク
03月14日 16:00 イタリア ウェールズ 15-20 スタディオ フレミニオ
17:00 スコットランド アイルランド 15-22 マレーフィールド
03月15日 15:00 イングランド おフランス 34-10 トゥッイケナム
03月21日 14:15 イタリア おフランス 8-50 スタディオ フレミニオ
15:30 イングランド スコットランド 26-12 トゥッイケナム
17:30 ウェールズ アイルランド 15-17 ミレニアムスタジアム


今年は初めて金曜日に行われたことと
比較的遅い時間でのキックオフになったことが新しい出来事でした

そして、今大会は各国首脳陣の人事異動も激しく
昨年のヘッドコーチなどが新しい人選になったりと

代表選手同様大きな話題の一つにもなりました

その中でもやっぱり注目株は何といっても
イングランドの新しい重鎮
マーティン・ジョンソン



イングランドのジェネラル・マネージャー マーティン・ジョンソン
始めての六ヶ国対抗戦に臨む
イングランドのジェネラル・マネージャーのマーティン・ジョンソン


昨年暮れのテストマッチでの汚名を是が非とも晴らさなくてはならない
イングランド首脳陣の苦悩がありありと感じる彼の姿は
今年の大会は第1節から“死闘”とも思える幕開けから始まりました


どんな一戦も全ては全力で・・・

そんな気概を感じる今年の第一節の幕開けは
2009年2月7日ロンドンはトゥッケナムスタジアムから
キックオフの試合の笛が鳴り響きました







第一節

2月07日
15:00


イングランド 対 イタリア
36 - 11
(Half Time 22 - 6)


<Twickenham>

イタリア戦大活躍のアンディ・グッジ
久しぶりの代表復帰スタメンの10番
アンディ・グッジ



地元開催第一戦目とあって
超満員の英国誇るラグビーの殿堂
トゥッケナム・スタジオの熱気は少々アウェイのイタリアには酷のように感じたこの一戦

イングランドは一つも負けられない今年の大会では
崖っぷちでの勢いも増し、
開始早々わずか1分でイングランド・10番のグッジ自らのトライで湧き上がります

最終的にはこちらも久々怪我が癒え復帰の9番・エリスの2つのトライ、
ニュージーランド人でありながら
英国に引越し代表権を得た12番フルッティーのトライと続き、
合計5つのトライを得、
前半終了間際でシンビン退場した6番のハスケル、
後半はまたまた退場くらった21番グラッティーと抜け
14人メンバーでもこの点数での快勝は
後々への期待を充分にイングランドファンへ与えてくれました

対するイタリアは2つのペナルティーゴールと
わずか後半14人になったイングランドの隙をついた1つのトライで
11点に留まるに終わってしまいます

イタリアはおととし引退した巨匠9番トロンコンが
今大会はコーチとしてグラウンドに出て選手達を労い、
その穴を昨年までは7番フランカーで出場していた
マウロ・べルガマスコが今シーズンは大型スクラムハーフとして出場
健闘するイタリアチームの今後の大きな話題になりそうでした


イタリア元代表トロンコン
おととしの大会で敵陣スコットランドに勝利した時の9番トロンコン

そして、そのイタリア率いる今大会2年目になった
ヘッドコーチ・ニック・マレットの渋い表情がやけに印象残る試合後でした


イタリアヘッドコーチ ニック・マレット
イタリアヘッドコーチ ニック・マレット




2月07日
17:00


アイルランド  おフランス
30 - 21
(Half Time 13 - 10)


<Croke Park>

アイルランド3つ目のトライ ダーシィー
アイルランドのダメ押しとなった3つ目のトライをあげたセンター・ダーシィー
アイルランド全員による攻めの下、繰り出された見事なトライ


大会中でも上位に上げられる“死闘”のこの一戦
アイルランド国民の聖地であるスタジアム
クローク パークで幕開けした
今年のアイルランドはこの初戦は絶対に負けられない
“ここでの試合は他国に敗れることは許されない”

そんな言葉にできない空気流れるスタジアムを埋めつくすアイルランド応援団

選手入場から目に見えぬ闘志がひしひしと感じられる緑の軍団と
集まった観客達の怒涛の声援が白い炎となって
試合前のセレモニーでは国歌のソルジャー・ソングとアイルランド・コールが夜空に木魂したこの日

前半先にトライを揚げたのは
どんな場所でも我らに敗北はありえない、と・・・ばかりのおフランスチーム

しかし、その後前半終了5分前に見事なステップを切ってトライしたのは
アイルランド8番ヒースリップ
1度はアイルランドの代表に呼ばれていながら
その代表権を手にすることができなかった彼は
昨年の六ヶ国対抗戦で初めてのキャップを手に入れてから
不動のポジションとなりました

そして、何と言ってもスタジアム中が大歓声に包まれたのは
後半早々にアイルランド主将のおなじみオドリスコルのトライ
寒く冷え込む2月のスタジアムへ
開幕戦を観にきたちびっ子達への大きな贈り物にもなりました

13番というポジションでありながら
ボールの落ちる場所にいち早く突っ込むフランカーと同じ仕事をするオドリスコルは
このトライへの長い行程でおフランスチームをすり抜けたステップは
彼の持つ個人技を見せつけられた思いでした
まだまだアイルランド主将の力は健在です

対するおフランスも黙っているはずもなく
本国でも起用には物議を醸し出した、という10番ボクシスも
後半にトライした後のコンヴァージョンを外すと
きっちり自分のミスは自分で償うとばかりにドロップゴールを決めてきます

しかし、この試合は結果的には9点という点差になりましたが、
両チームの流れるような力強い攻めが続き
キックで応酬するという場面も少なく
終わってみればお互いに一人のシンビンを出すことなく
緊張感の溢れる一戦となりました

昨年怪我のために出場できなかったベテラン・ダーシィー後半68分のトライは
久しぶりに観るビデオ判定のない高々と上がった主審の右手に
アイルランド一丸となったチームの底力を垣間見たように思いました


今年1年目の大会になる アイルランドのヘッドコーチ キドニーさん
今年初の六ヶ国対抗戦に臨むアイルランドヘッド・コーチのデクラン・キドニーさん


試合前にこの世界恐慌不景気の中をチケット代が値上げされたにも関わらず
超満員で試合を観にきてくれた観客のためにも
素晴らしい試合内容にしたい、と言っていた
新制アイルランドヘッド・コーチのキドニーさんの試合後の笑顔が
とても印象的な幕切れでした






2月08日
15:00


スコットランド
ウェールズ
13 - 26
(Half Time 3 -16)


<Murrayfield>


スコットランド唯一のトライ マックス・エヴァンス
スコットランドこの試合唯一のトライ
マックス・エヴァンス



今大会優勝候補1番の呼び声のウェールズの第一戦は北の街
エディンバラ郊外のスタジアムマレーフィールドは敵の本拠地からのスタートになりました

FW、BK共に安定しているウェールズに比べ
スコットランドは百戦錬磨のベテランが揃うFWに比べ
今年のBKは若い選手を揃えた・・というわけではないのですが
正直今一安定感がないように思えた今年のメンバーでした

スコットランドの得点源でもあるBKポジションのどこを任せても安心の
パターソンがスタメンから外れ、
主将は9番のベテラン・スクラムハーフのブレアになり、
すでに5年目を迎えるヘッドコーチのへディンさんも
今年はどんなチーム作りをしてきたのかが期待でした

しかし、相手がどんなチーム、というよりも
相変わらずの攻めのスコットランドはFWでごしごし進み、
BKがキックをして進み・・・という変わらない戦法

これでは今勢いに乗るレッドドラゴンを止めることはとても難しい・・・

結局早々に14番のウェブスターと交代し、
お待ちかねのパターソン出場から
やっとスコットランドの流れが変わってきました

最終的に4つのトライを揚げたウェールズとの点数が更に広がらなかったのは
このパターソンからじわじわと入るペナルティーキックの点数と
反対に珍しくトライ後のコンヴァージョンが入らない
ステファン・ジョーンズに助けられた形で
この点数差だったように思います

唯一の救いとこれからの光は後半50分に13番のカーリンと交代した
この試合キャップ2つ目を手に入れたマックス・エヴァンス

父親がプロゴルファー、弟のトム・エヴァンスも代表に選ばれている彼は
昨年まで痛めた腰の治療に暖かいスペインで
プロのゴルファーとして静養(?)していたという・・・変わった経歴の持ち主

しかし、代表初のトライはあのウェールズの早駒
シェーン・ウィリアムスのタックルをかわしてのステップから生まれたことは
これからのスコットランドの新しい期待になりそうな予感に
地元応援団のみならず私達ラグビーファンの大きな喜びになりそうです

スコットランド13番 マックス・エヴァンス 同じくスコットランド11番 弟のトム・エヴァンス

 左がお兄ちゃんのマックス・エヴァンス13番
右が弟のトム・エヴァンス11番

初戦はお兄ちゃんが先に今年デビューしてしまいましたが、
第2戦目からは兄弟で13番、11番を背負ってスタメンします

何と!弟のトムの方がお兄ちゃんのマックスよりも
10cmも大きい大型ウィングです

しかし、13番というポジションは様々な意味で技術を要する
燻し銀のような存在

次の試合にこの二人が揃う第二節は
楽しみな一戦になりそうな予感を残して
スコットランドの初戦は地元の期待に答えられず・・・・
次のおフランス戦に臨むことになりました







第二節


2月08日
15:00


おフランススコットランド
22 - 13
(Half Time 6 -3)


<Stade de France>


スコットランド11番 トム・エヴァンスのトライ
スコットランド唯一のトライ
11番トム・エヴァンスのトライ



今年初のパリでのこの試合は前半は開始早々攻めまくるスコットランドに
優勢かに見えた展開で幕が上がりました

前半始まって5分でのスコットランド11番
大型の弟トム・エヴァンスが一瞬トライとも思える
おフランスゴール端に突っ込み
思わず“トライ!”かと大きなスタジアムがどよめきました
この時弟トムは大きな印象をこの試合で観ている私達に与えます

そして、その後5分もしないうちに
今度はお兄ちゃんの小柄なマックス・エヴァンスが
大型おフランスBK陣に突っ込み
はじき出されはしましたが・・・
この兄弟の存在はこれからのスコットランドに欠かせないメンバーであることを
知らしめた一瞬でした


お兄ちゃんのマックス・エヴァンス
小柄ながらパスにランニングに活躍お兄ちゃんのマックス・エヴァンス

今回もパターソンはベンチ入り、
おフランスチームも前試合で酷評された怪人シャバルが同じくベンチを暖め、
しかし・・・前半25分過ぎまで試合は両者点数が入らず
わずかに6-3というペナルティーキックの点数と回数で終わりました
しかし、それはスコットランドFWの健闘が光った40分でもありました

後半に入りここは持ち前の強さとも言うべき
おフランスが47分に力強い7番オウドラゴが文句つようにもない先制トライ
両者後半入ってからキックアンドゴーが観られるようになり
その集散はやはりおフランスのお得意
つい出てしまう反則に長い距離でも決めるボクシスのペナルティーキックに
点数が重なります

しかし、後半やっとチャンスをつかみ
9番ブレアが大きく振るボールにうまく反応し
すばやく真ん中にトライした弟トムの初トライは
これからのスコットランドへの期待になりました

この試合中に度々スタンドからの中継で
1999年ラグビーワールドカップの得点王
元アルゼンチン代表スタンドオフのケサダが登場していたことに
ちょっぴり嬉しくなりました


元アルゼンチン代表の10番ケサダ
元アルゼンチン代表長きに渡りプーマズを率いた
10番ゴンザロ・ケサダ









今年は六ヶ国対抗戦ページがとてつもなく遅くなってしまい
作成を悩みました・・・

しかし・・・やはりこの大会を抜いては
今年のラグビーは幕開けしません

どうぞ、こんな勝手な思い入れに大変申し訳なく思いますが、
最後まで作れますことと共に
お付き合いいただければ・・・感涙です・・・









このページは私個人の意見を好き勝手に述べさせていただいておりますので
何卒ご了承くださいませ

どうぞ、ラグビー観戦にご興味がおありになる皆様からのご意見・ご質問をお待ちしております





注)これはあくまでも私個人の感想になります
皆様それぞれのご感想やご意見をお持ちでいらっしゃることと思います
皆様のご意見などお待ちしています








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 ・プレミアシップ観戦記 その2 2007年
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 ・2007年 The World Cup in France EPISODE6 Road of the World cup 2007 【1】
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